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コンタクトレンズ【フィッティングの正しい知識】

シリコンハイドロゲルSCLの正しい処方
ShSCLの正しい処方方法をChatGPTに相談した
2025年12月 
 PDF(0.24MB)
誤った処方が広まってしまった原因について
2025年12月 
 PDF(0.14MB)

■ ハードコンタクトレンズの場合

◇ハードコンタクトレンズの場合にはフルオレセインバターンでフィッティング状態を観察できるので、フィッティングの評価は比較的容易である。以下の区別ができれば、快適なフィッティングを提供する準備はできている。

1.ベースカーブと角膜曲率の関係から(フィッティング観察の基本)
 他の条件に関係なく、コンタクトレンズのベースカーブが角膜曲率半径よりも小さいか、大きいかの判断である。

  •  パラレル
    ・コンタクトレンズ下のフルオレセインが中央から周辺まで均一に染まっていて、ベベル部分で適切な幅と浮き上がりが確認できる
  •  スティープ
    ・コンタクトレンズの中央部分にフルオレセインの染色が強く、周辺部ではフルオレセイン染色が確認できない。ベベル幅は狭く、浮き上がりも少ない。
  •  フラット
    ・コンタクトレンズの中央部分にフルオレセインの染色が確認できず、周辺部ではフルオレセイン染色が強く確認できる。ベベル幅は広く、浮き上がりも大きい。
2.コンタクトレンズの動きから
 他の条件に関係なく、コンタクトレンズが角膜上でよく動くか、あまり動かないかの判断である。
  •  良好
    ・瞬目ごとにコンタクトレンズの適切な動きが観察される。
  •  タイト
    ・瞬目してもコンタクトレンズがあまり動かない。
  •  ルーズ
    ・角膜上でコンタクトレンズが動きすぎる。
3.角膜光学領の接触状態から
  •  アピカルタッチ
    ・角膜の中央部とコンタクトレンズの内面が均一に接している。
    (涙液レンズは形成されていない)
  •  頂点クリアランス
    ・角膜の中央部とコンタクトレンズの内面の間にフルオレセインがプールしている。
    (プラス度数の涙液レンズが観察される)
  •  周辺クリアランス
    ・角膜の中央部とコンタクトレンズの内面は中央部では接しているがすぐ周辺にフルオレセインのプールが観察される。
    (マイナス度数の涙液レンズが観察される)
  • HCLのフルオレセインパターンによる判定

     Too Steep  Steep     Parallel    Tight
     Too Steep:中央部にはアピカルクリアランスが明瞭に確認でき、中間周辺部のタッチしている幅が大きい。
      Steep:中央部にはアピカルクリアランスが確認され、中間周辺部のタッチしている幅がわずかに大きい。
      Parallel:中央部は広くアピカルタッチが確認でき、適切なベベル幅で適切な浮き上がりを確認できる。
      Tight:中央部に強いアピカルタッチが観察され、ベベルの浮き上がりも大きくなっている。
    典型的なHCLのフィッティング状態(イメージ) <>

    HCL: Normal

    Pallarel1な状態が得られれば概ね良好な状態が得られるが、Steep Loose, Steep Tight, Flat Loose, Flat Tightを意識しながらわずかにベースカーブ増減、時にはサイズの増減をおこない、Normalフィッティングを追求する。

    HCL: Steep Loose

    HCL: Steep Tight

    HCL: Flat Loose

    HCL: Flat Tight

    ■ ソフトコンタクトレンズの場合

    ◇ソフトコンタクトレンズの場合にはフルオレセイン染色が利用できないので、レンズの動き、レンズ周辺部の結膜への接触状態とレンズの安定位置から推測するしかないが、ハードレンズの場合と同じ状態を複合的にイメージする必要がある。

    1.ベースカーブと角膜結膜の接触状態から
    •  良好
      ・角結膜のカーブとコンタクトレンズの内面がよく沿っている。
    •  スティープ
      ・角結膜のカーブ対してコンタクトレンズの内面曲率半径が小さく、適切に沿っていない。
    •  フラット
      ・角結膜のカーブに対してコンタクトレンズの内面曲率半径が大きく、あまり沿っていない。
    2.コンタクトレンズの動きから
    •  良好
      ・瞬目ごとにコンタクトレンズに適切な動きが観察される。
    •  タイト
      ・瞬目してもコンタクトレンズに動きがほとんど観察されない。
    •  ルーズ
      ・コンタクトレンズの動きが大きすぎる。
    3.矯正度数の変動状態から
    •  アピカルタッチ
      ・角膜の中央部とコンタクトレンズの内面が均一に接している。
      (涙液レンズは形成されていない)
    •  アピカルクリアランス
      ・装用直後にはコンタクトレンズの内面と角膜表面の間に涙液がプールしている。
      (プラス度数の涙液レンズが形成されている、装用になじんでくるとアピカルタッチの状態になる)

    最も誤りやすい「スティープ・ルーズ」の状態

    ベースカーブがスティープなのにコンタクトレンズの動きが大きい状態

    ハードコンタクトレンズであれば、コンタクトレンズの動きが大きくても、コンタクトレンズを角膜中央部に動かしてみると、明らかにコンタクトレンズの中央部にフルオレセインが多く、その周りのフルオレセインは希薄になっている(アピカルクリアランス)ので、スティープの状態であることを容易に判断できる。
    しかし、ソフトレンズではフルオレセインの観察はできないので、動きやレンズエッジ部の結膜への接触状態などで判断するしかない。
    もともとソフトレンズのベースカーブは角膜の曲率半径よりもかなり大きく製造されているので、フラット・ルーズは特別巨大な曲率の角膜でなければ、一般には起こりえない。
    最もわかりやすい所見は、強く目を閉じた後に目を開いて維持すると、一度上方に持ち上げられたコンタクトレンズがずるーっと降りてきて、次の瞬きをしても、レンズが上方に持ち上げられないことが多い。あるいは持ち上がってもすぐに下に降りすぎる。
    これを動きすぎるので、フラットなのだと判断して、ベースカーブの小さなレンズに変えてしまうのが誤りである。これよって、レンスが角膜に張り付いてしまうので、レンズの動きはなくなり、センタリングは良くなります。しかし、以前のHEMA素材のソフトレンズであれば、違和感が強く、曇ってきて見え方も悪いので、誤りであることがすぐ分かるが、シリコーンハイドロゲルレンズでは張り付いても強い違和感がない。そのため、角膜に吸い付いた状態(吸着)で処方されていることをよく見かけた。
    このときに目の周りを締め付けられるようなヒリヒリ感や夕刻の周辺部結膜の充血を訴えることがあるが、たいていは“ドライアイのため”と処理されている。とても危険な状態である。
    こんな時にはベースカーブの大きなコンタクトレンズに変更するとフィッティングは改善する。
    しかし、ベースカーブの大きなソフトコンタクトレンズは徐々に市場から消えつつある。
    みんなが正しいフィッティングに目覚めれば、ベースカーブの大きなソフトコンタクトレンズの需要は大きいはずなのに! スティープ・フラットの誤った処方で、生じた眼障害例を「ソフトコンタクトレンズ処方の最適解マニュアルの最後の症例」に上げておいた。同じような障害を起こさないために、コンタクトレンズのフィッティングに研鑽を積んで欲しい。
    典型的なSCLのフィッティング状態(イメージ)

    SCL: Normal

    SCL: Adsorptin

    SCL: Steep Loose

    SCL: Steep Tight

    SCL: Flat Loose

    SCL: Flat Tight


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